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葛尾村水稲部会長
松本 邦久さん

私の住む葛尾村は、一部を除く避難指示が2016年夏にやっと解除され、村民が少しずつ戻ってきています。私自身は、震災の年の6月より始まった村内の24時間パトロールに当初から参加し、現在に至るまでパトロール隊の一員として活動する傍ら、2012年より村内で開始された水稲の試験栽培に協力してきました。そうやってこの5年、村内でコメ作りを続けてきたのに加え、今年4月には、知り合いに預けていた肉牛4頭を引き取って畜産も再開。新たに子牛3頭も育て、11月には子牛たちの初出荷を迎える準備もできました。

もともと高齢化が進み離農者も多かった葛尾村では、震災後さらに農業を続ける人が激減しました。何年も手つかずだった土地で、また一から営農を再開するというのはとても骨が折れる話です。一度空いてしまった時間を埋めるのは困難ですよ。しかしその中でも、昨年は7人だった作付け農家が今年は11人にまで増えたのは、大変喜ばしいことです。来年度以降はもっと増えることを期待していますが、こればかりは私個人が焦っても仕方がないこと。少しずつでよいから、農業を再開したいと考える人が増えていけばよいと思います。

私自身の田んぼの作付面積は、昨年は1.5アールでしたが今年度はこれを50アールに増やし、品種も中山間地域の気候に合う福島県の新品種「里山のつぶ」に変えました。周囲からの評判も上々なので、今後もこの品種を育てていこうと考えています。また、今年度は50アールのうち1.5アールを下枝君の葛力創造舎の米作りプロジェクトに貸し出し、田植えと稲刈りを一緒に手作業で行いました。こうした作業を村民や県内外のボランティアの方たちと一緒に賑やかにやるのも悪くないですね。何より、農作業を通じて外の人たちに葛尾村のことを知ってもらう良いきっかけになったと思います。

下枝君によれば、今年収穫したコメはせんべいなどに加工するということですし、来年度は酒米を作付けして日本酒を作る計画だと聞いています。これからの一次産品は何らかの付加価値を付けないと生き残れませんから、こうして開発された商品が村の特産品として村内外の方たちに周知されるまでになればよいですね。

葛尾村を良くしようと頑張っている葛力創造舎のこうした活動も、村の人たちに認知されるまでにはまだまだ時間がかかると思います。しかし、下枝君には諦めずに辛抱強く続けてほしいですね。彼のやろうとしていることは一人では達成できません。が、最初に誰かが協力しないと誰も始めないでしょう。私の田んぼを使ったプロジェクトを成功させ、実績を積み上げることで、他の村民たちも徐々に関わってくれるようになると思うので、これからも地道にこつこつと、楽しみながら協力していきたいと考えています。

(2017年10月取材)


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