INTERVIEW

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公益財団法人 福島県観光物産交流協会 観光部 業務担当部長
支倉 文江さん

2016年4月より3年間の任期で、福島交通株式会社から協会へ出向しています。震災後、福島交通では地元のNPOさんたちと組んで、「ふくしま復興かけはしツアー」など県外からの被災地視察旅行を実施してきました。その関係もあって、福島県として力を入れる「復興ツーリズム」の整備をお手伝いすることになったのです。

協会はいま、自ら旅行業の登録をして、福島に人を呼び込むツアーを独自に造成しようとしています。ツアーには大きく2つの柱があって、ひとつは原発事故被災地を中心にめぐる復興ツーリズム。もう一つは、2020年の東京五輪を意識したインバウンド(訪日外国人客)向けですが、この2つはもちろん重なる部分もありますね。私のミッションは、主に前者の浜通り地方中心のツアーを企画・催行して、2018年度中に軌道に乗せることです。

同じ福島県でも、会津や中通りと比べてもともと観光資源が豊富とは言えない浜通り地方は、大震災と原発事故で致命的な打撃を受けました。そこにどうやって人を呼んでくるか。現場の目線で考えるため、この地域で精力的に活動している方々9名を招いてワーキンググループを作り、県の観光課も交えて議論を重ねました。そこには葛力創造舎の下枝さんにも参画いただき、貴重なアドバイスをいただいてきたところです。

そして、浜通りの魅力あるコンテンツは、やはり「人=ヒューマン」であるという仮説のもと、2016年度は3つの異なる顧客層を想定した3回の検証会(モニターツアー)を実施したのですが、下枝さんにはそのうちのひとつ、県外の高校生対象の教育旅行モニターツアーで、葛尾村訪問のセグメントを全面的にアレンジしていただきました。郷土料理のランチ、村内散策、村役場の方の講話などはもちろんですが、村の消防団員の方のお話が聞けたのは、本当に貴重な経験でした。まさに魅力的な「ヒューマン」コンテンツで、これは下枝さんの人脈なしには実現できなかったことです。

いわゆるダークツーリズムという言葉がありますが、私たちは暗い部分だけでなく希望も見出してほしいという意味で、「ホープツーリズム」と呼んでいます。希望を語れるヒューマンというコンテンツをいかに発掘・育成していくか。そして、下枝さんのように地元の信頼が厚く、ツアーが地域にもたらす効果と参加者ニーズとのバランスをとって全体をコーディネートできる方(私たちは「フィールドパートナー」と呼んでいます)を、いかに増やし、協力体制を築いていくか。ホープツーリズム成功のカギはそこにあると考えています。今後、本格的なツアー造成に向けて、下枝さんをはじめとする頼もしいフィールドパートナーさんたちと協働を深めていくのが楽しみです。

(2017年4月取材 M/N)


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