INTERVIEW

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葛尾じゅうねん企業組合 理事長
松本順子さん

私たち葛尾じゅうねん企業組合は、エゴマまんじゅう「お大尽様」やエゴマ油を使った商品の開発・販売を行っています。エゴマとじゅうねんは同じ物で、じゅうねんは方言のようなものです。昔から身体に良いものとして食されていたので、「食べると10年長生きできる」との意味もあったようです。「お大尽様」はじゅうねんをすりつぶした餡を餅に包んだおまんじゅうで、村内で売られている葛尾村の特産品です。

2005年に、当時の農協支店長と農協女性部で、葛尾村ならではのものを使った特産品を作ろうという活動を始めて、目をつけたのが、昔から葛尾の人たちが栽培してきたじゅうねんでした。昔から葛尾では、商品として売るためではなく、自分たちで食べるために栽培してきたものなので、村民にとってはなじみがあります。このじゅうねんを使った葛尾の特産品を作るため、自分たちでお金を出し合って、「葛尾じゅうねん企業組合」を設立したんですよ。そこで、考案したのがこのエゴマまんじゅう「お大尽様」です。商品名は、村に古くから伝わっている葛尾大尽物語から命名しました。こうして新商品を考案して、それを実際に販売することができて嬉しかったですね。

しかし、震災のため葛尾ではじゅうねんの生産が出来なくなってしまって、「お大尽様」は販売中止を余儀なくされました。販売再開を望む声に応え、葛尾以外で栽培されたエゴマを使って製造することも検討しましたが、私たちは葛尾村産じゅうねんにこだわりたいという思いから、それはしませんでした。苦渋の決断でした。

「お大尽様」づくり再開のきっかけになったのが、2016年に避難指示が解除された後、たくさんの方々がその復活を手伝ってくれたことですね。郡山女子大学の学生や、以前はエゴマを栽培していなかった農家の方などが、葛尾村でじゅうねん栽培を始めてくれました。手作業でのじゅうねん栽培はとても大変な仕事ですが、「お大尽様」に使われているじゅうねんのほとんどがその手作業で収穫されたものなんですよ。

現在、「お大尽様」は村内のお店やイベントで再び販売されるようになり、多くの方に葛尾のお土産としてお喜びいただいています。みんなで作り上げた葛尾の特産品を復活させられたことはとても嬉しかったですね。これから「お大尽様」と葛尾村の魅力をもっと伝えていくために、村外のイベントやインターネットでも販売していこうと思っています。

(2018年8月取材)


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