INTERVIEW

PLAYER INTERVIEW

株式会社 電通(東京都)
阪中 真理さん、折坂 賢太さん

電通は、2012年から企業が連携して東北復興に取り組む「みちのく復興事業パートナーズ」に参画し、地域で活躍するリーダーを支える活動に取り組んでいます。研修の参加者として出会った葛力創造舎代表の下枝さんは、人口減少が進む葛尾村の継続のために、村の新しいあり方を模索されていました。その中で「葛力創造舎の活動を通してつながった村内外のたくさんの人がいて、このつながりを新しい概念のコミュニティとして分かりやすく形にしたい」とご相談をいただきました。「住所は問わず、関わってくれている人たち皆が新しい意味の『村民』」というイメージを具現化するプロジェクトとして、目指すことの言語化した上で、コミュニティ名とロゴの制作のお手伝いをすることになりました。

でき上がるものが外からの押し付けになってしまわないよう、土台となるコンセプトづくりの段階で当事者である皆さんの声を聞くことを大切にしました。実際に村にお邪魔し、新「村民」の方々と2度のワークショップを実施。村の良さや残していきたいものを挙げてもらう作業を行いました。これまで関わったほかの地域と比べても、葛尾村では、他人同士がまるで家族のように関わり合っているということが印象的で、「家族」がキーワードとなって見えてきました。そこからさらに煮詰め、村を通してつながる人は皆家族であるという想いと、また一般的な血のつながる家族との対比の意味を込めて「想いでつながるセカンドファミリー」というコンセプトができ上がりました。

そして、それを元に相談を重ね、コミュニティ名は、「葛尾村」と「家族」のエッセンスを入れ「かづろうさんげ」(村の訛りで「葛尾さんの家」の意)としました。ロゴは、「葛尾村」「家族」両方の頭文字である「か」を家の屋根に見立ててデザイン。視覚的には昔ながらの屋号にも見立て墨字風にし、出自を示す意味で「葛尾」じるしを押しました。目にした始めは「?」という顔をされた方が意味を聞いて笑ってくれたり、新しい解釈を加えてくれたりと、お披露目から1年が経ち徐々に馴染み親しまれていると伺いうれしく思っています。

かづろうさんげの中では「村民」を3つに分けて定義されています。村に住んでいる人が「第一村民」、近隣に住んでいてよくいらっしゃる人が「第二村民」、頻繁には来られない、たとえば東京に住んでいるような人が「第三村民」です。

現在のかづろうさんげの屋根の下で行われていることは米作りが主ですが、将来的には別の新しい活動に派生していくことを下枝さんたちは望まれていました。その中で「これはかづろうさんげの活動として相応しいか?」と迷うことがあったとき、立ち返ることができる旗印のようなものになることを想定しました。また翻っては、この言葉たちがかづろうさんげの活動の広がりを支える役割も担うことを願っています。

(2019年10月取材 相樂 美帆)


ページ上部へ