PLAYER INTERVIEW
私は中学からずっと剣道をやってきました。葛尾村で就職し、職場の先輩が剣道団で指導者をやっていたことをきっかけに、一緒に指導を始めました。平成元年には葛尾村に柔剣道場が完成。それを記念して始まった葛尾村東西対抗戦や葛尾村剣道錬成大会を毎年開催していました。小さい村ですが、平成16年には中体連の東北大会で女子団体が準優勝したこともありましたね。
東日本大震災の後はみんなバラバラになり、私も会津坂下町へ避難しました。剣道具や剣道着は葛尾村から持ち出せなかったので、ホームページで支援を求めると、全国から「頑張ってください」と言って送ってくださる方がたくさんいたのです。そうして震災から2か月半後に、会津坂下町の体育館をお借りして、活動を開始することができました。震災で大勢の方が大変で困っていた状況の中で、そもそも剣道を再開していいのかと悩みましたが、剣道団のみんなで稽古し、ご飯を食べたときは涙が出そうでした。
8月には三春町に移動し、三春町の剣道団の方々と一緒に活動を始めました。私は避難生活の中で、平成24年の創立30周年記念大会をやるのは無理だと思っていましたが、みんな一生懸命稽古を頑張ってくれたことと、三春町と双葉郡の少年団も協力していただいたおかげで、三春町で創立30周年記念大会を開催することができました。その時は震災だから諦めるのではなく、震災があったけれど今できることをやろうという気持ちで臨みました。
葛尾少年剣道団は人数が減ってきてはいるものの、中断することなく活動してきました。震災後の記念大会はずっと三春町でやってきましたが、次回は葛尾村で開催することが今の目標です。村内で剣道をやっている子は少ないので、もう一度ゼロからスタートになるでしょう。剣道は文化であり、その稽古を長年続けている人は周りに普及させる役割も担うものだと思います。私は今、郡山に住みつつ村内の職場に通っています。葛尾村公民館の剣道教室や三春町での剣道団に加え、葛尾中学校の保健体育科の授業でも剣道を教えていますが、これらの活動を通じて葛尾村に剣道を普及させていきたいです。
(2021年2月17日取材)