PLAYER INTERVIEW
2016年6月、帰還困難区域を除いて村の避難指示が解除され、その2か月後に6年ぶりの「葛尾村盆踊り」を開催することができました。震災前は葛尾、野川・上野川、落合という3地区ごとに住民団体が実行していた盆踊り(葛尾地区は盆踊りではなく秋の豊年踊りのみ実施)でしたが、復活にあたっては全地区合同で開催することとなり、葛尾村祭り連合会が新しく組織されたのです。
この連合会には、各地区の盆踊り関係団体を中心に、日本大学工学部の地域活動サークル(RISM)や郡山女子大のみなさんが参加してくれました。彼らの協力があってこそ、盆踊り復活が実現できたと言えるでしょう。RISMのメンバーが総合プロデュースを担当してくれたほか、今までになかった試みとして、女子大生が企画した「灯明ナイト」を実施。これは村で採れた菜種油に火を灯し、盆踊り会場までの道のりを照らすというイベントで、幻想的な光景がたいへん好評でした。また、葛力創造舎の下枝さんにも露店出店などの協力をいただき、皆さんのおかげで祭りの夜の賑わいを取り戻すことができました。
今年の葛尾村盆踊りも、同じ大学の皆さんの協力をいただいて8月14日に開催します。解除直後だった昨年でも200人ほどの村民が参加してくれましたので、今年はもっと多くの方にお越しいただけるのではないでしょうか。昨年の灯明ナイトを発展させた「ほたるの森アートプロジェクト」に加え、子供さんが楽しめるイベントにしたいということで、「オリジナルキャンドルづくり」も企画されています。また、村の特産「凍み餅」をアレンジした商品も、食物栄養専攻の女子大生の皆さんが考えてくれているので、ぜひ楽しみにしたいですね。このほか村の婦人部の皆さんによる炊き出しや、商工会などの出店もありますから、賑やかになると思います。
私は子供のころから、村の伝統芸能に触れて育ちました。地区に伝わる三匹獅子舞(日山神社に奉納する小中学生による舞)も踊っていましたし、盆踊りでは櫓に上がって笛を演奏します。楽譜ですか?見たことないですね…(笑)。笛の吹き方を誰かに教わったという記憶もなく、すべて耳で聞いて、見よう見まね。そうやって代々伝承されてきたものなんですよ。後の世代に伝えていくためには、録音・録画という手段もありますが、ぜひたくさんの子どもたちに盆踊りに来てもらって、実際に目で見て耳で聴いてほしいと思います。そういう私自身、高校で郡山に出て、その後東京で就職しましたので、その間はお盆に帰省することも稀でした。でも、葛尾に戻ってからは青年会のメンバーとしてずっと盆踊りの事務方をやってきて、現在は、復活した全地区合同の盆踊りにこういう形で関わっている。それも本当にご縁だと思います。
元通りに3地区それぞれの団体が盆踊りを開催するのは、これからも当面は難しいかもしれません。合同で復活した葛尾村盆踊りは、大学生の皆さんの協力を得ながら、村民全員が一堂に集まれる村のイベントとして、継続させていければと考えています。
(2017年7月取材 M/N)