INTERVIEW

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葛尾村役場
八嶋 哲也さん

大学を卒業後、経済産業省に入省。出身は関西ですが、北海度への憧れから北海道支局を希望し、社会人になると同時に北海道に移住しました。

経産省では様々な仕事に携わりました。道内製造業や中小企業の経営支援、珍しいところでは象牙の輸入管理やアイヌ工芸品の産業振興にも従事したことがあります。

経産省には、福島第一原発事故の被災地域に職員を派遣する制度があり、北海道支局からは1名交代で葛尾村役場に職員を出していました。入省当時に自分の教育係をしてくれた先輩もその一人で、その方が北海道に帰ってくる度に、葛尾村での仕事のやりがいについて話して下さったことで、私も自治体で働いてみたいと思うようになりました。加えて、震災当時に被災地のために何も行動を起こさなかったことに対する後悔もあり、葛尾村への出向制度に手を上げました。

葛尾村への出向が決まったのは2019 年3月のこと。内示から着任まで3週間しかなく、この間に引っ越し先を決め、部屋を片付け、後任に業務を引継ぐ準備をし、と人生で一番多忙な3週間でした。忙しすぎて自分の送別会に参加できなかったこともあります。

葛尾村役場では、スマートコミュニティ構築、大学連携事業での畑作業、帰還困難区域の一部避難指示解除、総理大臣の来訪対応、かつらおpride向上委員会でのプロジェクト発案など、様々な仕事をさせていただきました。どの仕事も非常に現場が近く、手触り感があって、経産省では決して経験できない素晴らしいものばかりです。

そんな中、葛尾村盆踊りの運営準備も、私に任せられた仕事でした。

もともとお祭りに参加するタイプの人間ではなかったので、盆踊りとは何かが分からない。スタッフの中で私だけが葛尾村盆踊りを経験していないという状況の中、それでも自分が準備を仕切らなければいけないことに、大変なプレッシャーを感じた思い出があります。

盆踊りは、葛尾村を築かれたご先祖様の供養のため、また、今も避難生活を続ける村民やその家族、葛尾村に関わる多くの方々が再会の喜びを分かち合うための大切な行事です。震災で一度途絶えてしまったこの文化を何としても継承させたいと、きっとそんな思いでこのお祭りは立ち上がったのだと思います。

当初から、村と関わりのある大学などがお手伝いに来てくれていることは大変心強いのですが、どうしても村民がゲストとなってしまい受け身になっていました。葛尾村民の皆さんの盆踊りですから、村民の皆さんが主になって、村外の方を巻き込み新しい風を入れながら盆踊り大会を続けて行く。そんな葛尾村盆踊りにしていきたいと思っています。

葛尾の方々は非常に面倒見が良いですね。着任2日目で村の農家さんのご自宅へ泊まることになりました。そのご厚意がとてもうれしく感激しました。葛尾村は村外の方に対しても好意的ですね。村社会というと少し排他的なイメージを持っていましたが、全くそんなことはありませんでした。

農家さん回りをしたら、丸1日かかります。どこへ行ってもお茶菓子やご飯を出してくれて、戻る頃にはお腹いっぱい、両手は野菜でいっぱいです。

そうやって私はこの村の当事者になりました。仲良しの誰々さんがいる村。葛尾村盆踊りがある村。そうした事柄が自分と結びつくことで、かつらおprideが育っていくのだと思います。みんなの心にかつらおprideがないと、村の未来は守れません。現在、役場ではデスクワークに追われている職員も多いように見えますが、彼らにこそもっと農家さんや村内の方と接する仕事をしてほしいです。

早いもので、着任して4年目に突入しました。着任当初よりも自分の持ち味を仕事に活かせていると感じています。いつまでこの村にいられるか分かりませんが、大好きな葛尾村のために、できることを精一杯やって行こうと思います。


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