INTERVIEW

PLAYER INTERVIEW

葛尾村食生活改善推進員会前会長、パッチワーク教室主催
松本 トキさん

私は震災当時、家の前にいました。畑仕事をしていたら次第に大きく揺れ始めたのを覚えています。翌日には避難して、一時的に郡山に住むことになりました。

避難している間、私は食生活改善推進員会の会長として減塩、メタボ予防、高血圧対策などの料理教室を開きました。もともと葛尾村の人たちの食事は塩分が多め。それでも以前は畑仕事でよく体を動かしていたのでよかったですが、震災後はその機会もなくなり、これまでの食生活が健康に悪影響を及ぼす可能性が出てきたんです。それで三春の公民館を借りて、塩分控えめの料理を作って試食してもらったところ、みんな甘くておかずにならないというんです。醤油はテーブルに持ってこないようにと注意したけれど、「だめだよ自分で持ってくるんだもん」と奥様方に言われました。なかなか改善は難しかったですね(笑)。

もう一つ、仮設住宅に入ってから趣味のパッチワーク教室を再開しました。昔の女の人は裁縫が得意。みんな最初は「おれはできねえ」っていうんだけど、一度始まるとみなさん黙々と取り組むんですよね。80代90代のおばあちゃんだって一生懸命縫ってくれますよ。そのなかで、「パッチワークを教えてもらってよかった」と言ってもらえることが本当に嬉しい。やっててよかったなあと思えます。私自身、もしパッチワークがなかったら、震災後なにもすることがなかったので、続けていてよかったと思っています。今も教室は続けていて、郡山や三春に避難している人とお互いにどんなものを作ったのか見せ合ったりして、楽しく進めていますよ。

最近は、葛力創造舎さんの田植えや稲刈りのイベントの際に声をかけていただいて郷土料理を振る舞うことにも取り組んでいます。大人数分を作るので大きな鍋を使いますが、それによって例えば「煮しめ」などはよく味がしみて、とっても美味しくなります。

また、生地を再利用したモンペ作りもやっています。再利用なんて今は珍しいでしょうが、昔は着物の生地や布を寝巻きに仕立て直したりしたんですよ。いまは昔とはまた違った感じで再利用ができるので、作っていて楽しいです。健康に暮らしながら、葛力創造舎のみなさんとの関わりを続けていくことが目標です。

(2018年11月取材)


ページ上部へ