PLAYER INTERVIEW
2016年11月に葛尾村長に就任し、今月で9か月になります。葛尾村は2016年6月に原発事故による避難指示が帰還困難区域を除いて一部解除となってから1年が経過しましたが、2017年7月1日現在、帰村者が159名、避難指示解除以降の転入者は38名で、帰村率は12.2%に留まっています。震災後、村外に家を建て移り住んでいった若い世代も多く、葛尾村が「震災前と完全に同じ生活を取り戻す」ことは残念ながら困難だと考えています。
今年度は、葛尾村復興計画に沿って前年度からの取組を着実に進めるとともに、私の考えを国や県、村議会に取り入れてもらいながら予算を組んでいます。力を入れているのは農業の再開、防災の強化、復興交流館の建設などです。また、インフラ整備も着実に進捗し、これまで以上に道路の整備や修繕を進めるのに加え、帰還した村民の生活再建支援にも力を入れていきます。さらには、商店等の村内での再開が進んでおり、これが村民の帰村への一層の足掛かりになることを大いに期待しています。
震災前の村の主な産業は農林業や畜産業でした。この厳しい状況にあっても、村内で畜産や農業を再開し、株式会社化による大規模経営を目指している若者もいます。村を活性化するために若い力は不可欠です。村としても本格的な畜産や農業の再開、さらに経営の大規模化へ向けたこうした動きを、資金面などで最大限支援していく考えです。
今後の葛尾村の在り方を考えた時、重要視しているのが、Uターン者や村外からの移住者を迎えられる体制を整えること。2008年度から力を入れている「葛尾村若者定住促進住宅」への入居を促進するとともに、中学生までの子育て世帯に対し助成金などを設けることで、来年4月から村内での再開が決定している小中学校へ多くの児童・生徒が入学してくれることを期待しています。それが必ず、地域の活性化へつながっていくはずです。
村で育ったUターン者やこれから移り住んでくれるIターン者を含め、人々が住みやすいと思ってくれる村づくりのためには、県内の大学生や若い世代の生の声を聞くことも必要不可欠。村のために努力してくれている下枝君などの若者の活動を後押しし、また彼らの考えや声を参考にしながら、村の復興施策を進めていきたいと考えています。
(2017年7月取材)