PLAYER INTERVIEW
2017年1月に設立された「かつらお胡蝶蘭合同会社」は、三農家一法人が協力し合い、600坪規模の施設で胡蝶蘭を栽培する企業です。私はその中の一農家として参加し、地域における新たな農業形態の確立に取り組みます。
現在(2017年8月)葛尾村に建設中の栽培施設は、年内に完成の予定です。生産を開始するまでの間、私たちは胡蝶蘭栽培に必要な知識や技術、活用しうる資格の習得のほか、他県の胡蝶蘭栽培施設や市場の視察などを行っています。
私がこの仕事に就くきっかけとなったのは、2014年に親類を通じてこの新事業について知ったからでした。当時私は会社員として他業種で仕事をしていましたが、2011年の震災後ずっと、村の復興のために自分にできることはないかと考えており、今回の新事業への取り組みを良い機会であると感じました。
私は福島県内の農業短期大学校で花卉(かき)栽培を学び、3年間東京の市場で競り人を行った経験があります。また、前職で学んだ経営的な観点でのマネジメントなども、本事業に活かせると考えています。ふるさと葛尾村で胡蝶蘭栽培事業に取り組むうえで、これまでの私の経験を円滑な組織運営に発揮させていきたいと思います。
「かつらお胡蝶蘭合同会社」を運営していく上で、本事業を軌道に乗せて安定した生産性を確保し、新事業としてのモデルケースとなることを第一優先に考えています。葛尾村では前例がない事業ですが、労務負担が少ない胡蝶蘭栽培は、高齢者や女性でも安心して働くことができる生涯現役型の仕事。また、高単価商品であるため高い収益性が期待できます。
私たちの使命のひとつは、胡蝶蘭栽培を葛尾村の新しい基幹産業として定着させることです。そのためには仲間を増やすことも大切ですから、新規で胡蝶蘭栽培を始めたいが知識も技術も不安があるという方への技術指導も行うことも考えています。胡蝶蘭栽培が採算のとれる産業として確立され、就労機会を提供するようになれば、若い方や村外から移住を考えてくれる方にとっても魅力となるでしょう。
また、個人的な意見ではありますが、葛力創造舎の下枝君と共同で胡蝶蘭栽培の農業体験を実施したり、既存産業とのコラボレーションで葛尾村の魅力を伝える活動にも一役かいたいですね。志を共にする仲間を増やし、村のPRや情報発信で協力していければと考えています。
長い目で見ながら地域の人との関わりを大切にした事業を展開することで、この合同会社の存在が、かつてあった葛尾村全体の地域コミュニティを復活させる一助になればと思います。
(2017年8月取材)