INTERVIEW

PLAYER INTERVIEW

フォレストクリエイト桑原 代表(田村市)
桑原 直人さん

「自由に働けそう」というイメージで林業の道に入りました。
自然の中で木を相手に仕事をするって、なんだか自由な感じがするじゃないですか笑
それにいざやってみると、林業の価値がとてもよく分かりました。
私が住んでいる田村市は、自然の恩恵で回っている地域です。
林業は自然を守り、そして誰でも簡単にできる仕事ではありません。田村市で林業をすることは価値しかない!と強く思っていました。

2011年3月11日、東日本大震災が起こります。
原発事故の影響で、一瞬にして福島の林業は致命的なダメージを負いました。
木を切っても販売ができなくなり、そもそも線量が高いので入れない山もありました。
そんな中開始された事業が「ふくしま森林再生事業」です。
これは、ダメージを受けた福島の林業の基盤となる素晴らしい補助事業です。しかし、どうしても今までのような林業と比べて仕事の仕方が変わってしまいました。
私は林業という仕事を通じて「誰かの夢や、叶えたい森のあり方をお手伝いしたい」と思いながら仕事をしています。
しかし、震災以降の林業は公的な機関からの依頼や補助金・助成金などを使った仕事が多くなり、やりたいことと目の前の仕事にズレが生じてきてしまいました。

その「ズレ」を一年ほど悩み抜いた結果、「フォレストクリエイト桑原」という事業体を作り、独立をしました!
個人の山や森を管理させて頂くのがメインの仕事です。
自分の信念や目標に向かって真っ直ぐに仕事ができるので、毎日楽しく仕事をすることができています。

不思議なもので、長年林業に携わっていると「林業」に対する考え方がガラッと変わってしまいました。
冒頭でもお話しした通り、最初は林業を「自然を守る」仕事だと思っていました。でもいつの頃からか「本当に自然な状態を守るのなら、人が何も手を加えないのが一番」だと感じるようになっていました。
枝を払うのも、下草を刈るのも、全ては人が育てたい、作りたい森にするための作業です。また、木を切ることはその木に住んでいる動植物、昆虫などの住処を奪っていることでもあるわけです。
私たち林業に携わる人間は、「人の営み」と「自然」の間を行ったり来たりしながら、葛藤を抱えつつも信念を持って仕事をしているのです。

林業は、扱っているテーマがとても大きい仕事です。仕事相手の「自然」は、決まった一つの形をしていませんし、常に変化しています。
私は、自然と同じように人も常に変化して良いのだと考えています。
私の中の林業に対する考え方は、仕事を始めた当初と現在とで180度違変わりました。とても大きな変化です。でも、それで良いんじゃないかと思っています。最初感じていたことややっていることは、時間と共に変化していくのが普通ではないですか?
大事なのは、そうした「変化」を恐れないこと。人間、に失敗はつきものです。そうした時に、同じ失敗をしないよう少しずつでも自分をどんどん変化させていくことで、より深みを増した大きな人間になれると思っています。
自然と対峙し、自分を大きく成長させてくれる「林業」、これからを担う若い人にぜひ体験して欲しいと思います!

2020年9月取材
石島来太


ページ上部へ