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葛尾村三匹獅子舞
松本 隆裕さん・佳依くん 親子

2017年11月3日、葛尾村内にて7年ぶりに「かつらお感謝祭(自然の恵み感謝祭)」が復活しました。当日は様々なステージイベントが催される中、葛尾行政区の郷土芸能「三匹獅子」も、震災後初めて村内で披露されました。

江戸期の元禄年間に始まったといわれる「三匹獅子」は、地域の無病息災を祈り県立自然公園日山(天王山)山頂の日山神社の例大祭で奉納されてきたもので、1973年には村の無形民俗文化財に指定されています。お囃子や舞子を含め全て地域の長子のみに受け継がれるのが伝統でしたが、現在では担い手の減少のため、本来は子どもが務める舞子に成人を交えるなどして存続が図られています。

震災後も仮設住宅などで披露されてきましたが、舞子も囃子もみな避難先から集合しなければならないため練習もままならず、本番1か月前より毎週土曜日のみとのこと。本来は「庭入り」から「納め舞」まで12の舞があり、雄獅子(太郎・次郎)と雌獅子に岡崎と呼ばれる道化が絡む1時間を超える演目ですが、現在では15分に短縮しての演舞となっています。

今回の「かつらお感謝祭」で、見事な次郎を見せてくれた松本佳依くんは、舞子となって2年目だそうです。感想を聞くと、「練習の時より失敗しないでできたから嬉しかった。練習は大変だけど踊ることは楽しい。もっと踊りが上手になりたいので、来年も頑張りたい」と、熱演後の安堵した表情で語ってくれました。

岡崎を務めた父親の松本隆裕さんは、「避難先からみんなで集まって練習する時間は限られているうえ、上述の12の舞すべてを踊れる舞子も、みな高校を卒業した年齢になってしまいました。道化役の岡崎と笛や太鼓のお囃子は成人男性が行うものなのですが、その担い手を増やそうにも、新しい人に教えられるだけの人材と時間を確保できないのが現状です。いずれは元の形に戻したいと思いますが、とにかく今はどんな形であっても獅子舞の存続に努めるしかないと考えています」と、佳依くんの頭を優しく撫でながら話してくれました。

その佳依くんからは、「僕もお父さんのようにいつか12の舞全てを踊ってみたい」という心強い言葉が。難しい課題が山積する中でも、地域の伝統を受け継いでいきたいという若い意志に感心させられた瞬間でした。

(2017年11月取材)


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