INTERVIEW

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農家(葛尾村 岩角地区)
金谷 天(きんたに・たかし)さん

震災前は、タバコの栽培と畜産で生計を立てていました。いいタバコを作って表彰状をいただいたことも何度かあります。金杯なんかももらったことがあるけど、お酒は飲まないので使ってないね。コメも少し育てていたし、あとは浪江町の種屋さんから苗を買っていろんな野菜を作っていました。また、岩角地区の区長をはじめ様々な役員も務めました。その頃はいいことも悪いことも全部背負わなくてはならなかったので、部落をまとめるのは大変だったね。周りの人からの信頼がいちばん大事なんだ。

震災後、避難区域が解除になってすぐ葛尾に戻ってきました。牛小屋を立て直して畜産を再開しようと思ったけど、放射線の影響で牧草は食べさせてはいけないと言われてしまったから、牛は手放しました。畑も除染の影響で土が悪くなって、すぐには再開できなかったし、やっと野菜ができても、獣害がひどくて大変でした。長い間葛尾に人が住んでいなかったので猪や猿のような野生動物が増えて、畑を荒らすようになってしまって。昔はなんでも自分で 駆除したけど今は歳だから追い払うことしかできないんだよね。

最近は、ブロッコリー、カリフラワー、ピーマン、ヤーコン、ナス、パプリカなどを栽培しています。家で食べるだけ育てようと思っていたけれど、結局それぞれ40~50本ずつ育てているからとても食べきれない(笑)。

それから今年は黄色いスイカの苗を見つけて珍しいと思ったので初めて育ててみました。赤いスイカよりもさっぱりしていたかな。以前のように畑仕事に草刈り、収穫など忙しくやっています。これからの時期は、稲刈りをしてからじゅうねん(エゴマ)を刈る予定です。

現在、岩角地区にはほとんど人が住んでいないので寂しいです。人よりも動物と会う方が多いかな。カモシカとか。でもやっぱり葛尾でずっと生活してきたからこの場所で暮らすのが一番だと思っています。野菜作りが生きがいかな。今度は新しくチンゲン菜、小松菜、野沢菜なども作ってみたいです。

(2020年9月取材)


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