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株式会社GNS 常務取締役(二本松市)
廣田 拓也さん

株式会社GNSは二本松市に本社・工場を置き、食用油や穀物・豆類などを主原料とする様々な食品を製造販売しているほか、グループ会社を通じて飲食店も展開しています。

私たちが大切にしているのは、「生産者の再生産を支える」こと。モノづくりの仕事は、ただ作ってそれを欲しいという人に売るだけでは早晩行き詰まります。実はGNSも、東日本大震災で売上が半減するまではそうでした。しかし、来年も再来年も生産者が安心して生産を続けられるためには、欲しいという人を探し出したり、欲しいと思わせる需要喚起をして、かつ適正な利益を生む価格で販売しなければなりません。それがすなわちマーケティングという仕事で、それを私は震災後に猛勉強したのです。

そして、元からあった「たなつもの」という商品ラインに加え、「TANATSUMONO DINING」、「七右ヱ門」、「福島拓景」といった新ブランドを開発。成功させたことで、「ふくしまベンチャーアワード2016」特別賞、「ふくしまおいしい大賞2016(調味料部門)」大賞なども受賞しました。最近は講演や商品企画・開発・ブランディングなどのコンサルティングも増え、おかげさまでだいぶ忙しくなっています(笑)。もっとも、自分はコンサルタントではなくあくまでメーカーの人間です。私にとってモノづくりを追求してマーケティングにたどり着くのは至極当然のことでしたが、世の中にはそのノウハウへのニーズがあったということですね。

また、私はリーフというNPO法人を通じて福島県産農産物の販売支援も行っており、今年は「ふくしま農と食のデザインキャンプ」という研修を開催しました。ここでいうデザインとはロゴやパッケージのことではなく、事業戦略の設計のことです。視察とワークショップを複数回組み合わせた半年間に及ぶ研修でしたが、その受講生の一人が、葛力創造舎の下枝さんだったのです。それがご縁で、下枝さんが今秋プロデュースした葛尾中学校の「商品開発を通じてふるさとを学ぶ」という授業の講師をお引き受けすることになりました。

私が教壇に立ったのは2回ほど。中学生を相手にマーケティングの話をするのは初めてでしたが、内容は基本的には大人向けと同じです。つまり、「どんな商品を作るか」の前に、「自分は何がしたいのか」をじっくり考えてもらうようにしました。先生方にもお手伝いいただき、その思いを引き出した後は、いよいよ商品の形にしていきます。案としては特産の凍み餅を使った商品やキーホルダーなどのグッズも出ましたが、「他にはないもの」「自分たちらしいもの」を突き詰めていったら、ガチャという発想が生まれました。

でも、ふつうのガチャではないよね?いくらで売るの?その値段なら中身はどんなものにする?買ってもらうためには、いつどこに置くのがいい?ネーミングは?――つまりはマーケティングの4P (Product, Price, Promotion, Place)理論です。これを中学生向けに噛み砕いて伝えるのは、かなり大変でしたが(笑)。そうして、モノではなく思い出を売りたい、という生徒たちのコンセプトが最終的に手作りの「葛尾絆ガチャ」になったのです。この授業は私にとっても挑戦でしたし、良い経験となりました。

葛力創造舎は、村の主産品であるコメから新商品を開発する計画と聞いています。今後も協働の機会があればうれしいですね。

(2017年12月取材)


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