INTERVIEW

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葛尾村教育長
小野田 敏之さん

葛尾村は震災前は1400人程度の村だったのですが、原発事故の影響で避難区域に指定されたために住民が一度避難して、現在は村に住んでいる人が約350人という状況です。特に子供の人数はとても少なく、村内で小中学校を再開して2年目ですが、幼稚園児5名、小学生が7人、中学生が8人です。

しかし、人数が少なくても子たちのためにやることは変わりません。物事には良い面と悪い面があります。子供の人数が少ないという課題はもちろん解決に向けて努力する必要はありますが、同時に、少ないからこそできる少人数の良さを発揮できるような取り組みにも力を入れています。

例えば、生徒数が少ないと、まず子供たちの社会性をどう育むかが課題となりますが、それを補い解消するために、近隣の学校との遠隔合同授業や、近くの学校に伺っての合同体育を行ったりしています。その一方、ほとんどの生徒が何かしらのリーダー的な役割を担うので、ほかの学校よりも主体性が生まれやすい環境であるともいえます。

また、知恵を出し合い、力強く推進するために月に一回校長会を行っています。校長先生から学校の話を聞かせてもらい、教育委員会からも願いや方針を伝えて、それぞれの学校の良さを発揮するようにお願いしています。

葛尾村ならではの授業の一例として、ALTの先生が幼小中すべてで英語を教えたり、中学の理科や体育の先生が幼稚園に行って子供たちに教えたりしています。これは横のつながりが作れないかわりに縦をつないだ例であり、他の地域ではあまり見られない特色でしょう。

教育委員会も、子供たちを優しさと心身の強さを持った人に育てることを目指しており、そのために地域の人々の力を大切にしたいと考えています。これからの葛尾村や幼小中学校をよりよいものにするためにどうするのか、目標づくりや企画等の段階から地域の人に関わってもらい、一緒に活動して行ければ素晴らしいことだと思っています。またそうした取り組みの成果を、ネットや紙媒体を通してしっかり伝えていくことも大事にしていきたいですね。

(2019年8月取材 久保百香)


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