PLAYER INTERVIEW
金泉ニットは愛知県岡崎市に本社工場を構える、1973年創業のニットウェア製造販売会社です。2018年6月に福島県葛尾村に工場を新設し、安定した品質の提供とこだわりあるモノづくりでシェアを拡大しています。
私は葛尾村の隣、田村市都路町の出身です。2011年の原発事故の後、一時は全町避難となって(同じ田村市内の)船引町に避難していましたが、夫も都路生まれということもあり、慣れ親しんだ地元のほうが安心して子育てができると考え、避難解除後は家族ですぐに自宅へ戻りました。
そして老人ホームで福祉の仕事に就いたのですが、今後夜勤が増えてきたときに子供との時間が取れなくなることが不安でした。子供に何かあったときもすぐに対応できるような、自分の求める条件に合う仕事を探して見つけたのが金泉ニットです。ここなら都路からもすぐ近く、子育てと両立させて働ける環境があると思い、2018年の秋に転職しました。
ニット製品には様々な工程があります。慣れるにつれて担当する仕事の幅も増え、楽しい反面、大変さも感じています。たとえば、「糸しまつ」というのは縫い合わせが目立たないように加工する作業ですが、製品によって使う糸や編み方が違うので、加工の仕方が違うのです。一つ一つに合わせて「糸しまつ」の方法を変える技術を身に着けるのが、今の私の目標です。
ニット製品が一つ一つ違うということに関して、興味深い話があります。金泉ニットの工場は葛尾村と愛知県岡崎市、東京都の3か所ですが、3工場で同じ製品を同じ工程で製造しても出来上がりが違うのです。葛尾工場でつくったものは特に手触りが柔らかく、風合いよく仕上がるのですよ。その理由の一つと考えられるのが、製造過程で洗濯に使う「水」の違いです。なんでも葛尾の水は「超軟水」なんだとか。現在東北大学に水の分析調査を依頼しており、結果を待っている段階です。
私のモットーは「楽しく生きる」ということ。従業員として仕事に必要な技術を身に着けるのは当たり前のことですが、まずは「楽しい職場環境」を目指して、自分ができることを周りと協力してやっていきたいと思います。入社以来、職場でだれよりも明るく、楽しく働くことを心掛けてきました。これからも、自分なりのやり方で会社に貢献したいですね。
(2020年5月取材)