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NPO法人 馬事振興会 事務局長(古殿町)
窪木 清彦さん

NPO法人馬事振興会は2009年に設立されました。現在の会員は16名ほど。馬主の人もそうでない人もいますが、みな、馬と力を合わせて暮らしてきたこの地域の文化を、後世に伝えていきたいという思いを持っています。

古殿町は流鏑馬で知られていますが、そうした華やかな祭事だけでなく、馬は人々の日常生活と深く関わってきました。昭和の初めに機械化が始まるまで、日本の農林業には馬の力が欠かせなかったのです。田んぼの代掻きも、伐った木を山から下ろしてくるのも、さまざまな荷を運ぶのも、すべて馬を必要としました。各地に馬頭観音があることからもわかるように、そのころ私たち人間は、馬に対する感謝の気持ちを持っていたんですね。いまのお年寄りに当時の話を聞くと、馬と人間は文字通り寝食を共にし、農作業が終わると人間より先に馬の食事をさせたと言います。

私たち馬事振興会は、子どもと馬のふれあい教室などを通じて、そういう文化こそ伝承していきたいと考えているのです。単なる乗馬体験なら動物園でもできますからね。昨秋は、流鏑馬が行われる古殿八幡神社のいちょう祭りで、「馬との綱引き」を企画しました。馬にどれくらい力があるか知ってもらい、その力を人間がどう利用してきたかを教える目的です。

そして今年の春は振興会として初めて、馬を使った田んぼの代掻きを実施しました。地元の小学生が授業の一環で田植え体験するのにあわせ、その田んぼを提供した「おざわふぁ~む」の小澤さんから、昔ながらの馬による代掻きを見せたいという話をいただき、我々が協力したものです。代掻きに使う道具は数十年も納屋に眠っていたものですが、当時を知る世代の方々がしっかり保管しておいてくださったおかげで、立派に使うことができました。

こうした日本の中山間地に根付いていた馬との共生の文化を、古殿におけるグリーンツーリズムに生かしていけないか、という話を葛力創造舎の下枝さんからいただいています。振興会のメンバーはみな本業の傍らですので、なかなか活動の拡大は難しいところですが、地域おこしにつなげるためにも、できるところはぜひ協力していきたいですね。

グリーンツーリズムの核となる田植えや稲刈りなどの農作業体験は、特に資格がなくても提供できますが、馬とのふれあいとなると、参加者の安全確保のためにも「動物取扱業」の登録が必要です。馬の保管・貸出・展示・調教などに関する専門知識を持った「動物取扱責任者」を有する馬事振興会として、これからどのような形で協働できるか、一緒に考えていければと思います。(2017年6月取材)

(写真:取材の日お集まりいただいた馬事振興会のみなさんと、代掻きで使用した万鍬(まんぐわ)などの道具。窪木事務局長は左端。)


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